仕事をしていると「コミュニケーションって、本当に難しいな」と思うことはないでしょうか。
自分の言いたいことがうまく伝わらなかったり、相手の考えがどうしても理解できなかったりと悩むことがあります。
もちろん、仕事以外でもコミュニケーションに苦労することはたくさんあります。
仕事中は、上司や部下、得意先やお客様等さまざまな関係性によって、立場のしがらみが生じやすいと思います。
そのような中で「円滑なコミュニケーション」を継続することは、非常に困難でありストレスが発生しやすいものです。
私は常日頃思っています(涙
本記事では「コンパッション」と「利他性」について学び考察をしていきます。
相手を思いやること・ありのままの状況を見ることで、景色は変わり、コミュニケーションに対してストレスは減ると考えます。
そして、個人ではなく組織で理解することで、円滑な職場環境をつくることができます。
- コンパッションってなに?
- 利他性とはどういうこと?
- 病的な利他性に注意しよう
コンパッションを考える|コンパッションについて
良好なコミュニケーションを築くことは、自分だけではなく周囲のストレスやネガティブな感情を軽減させることができると思います。
「媚びる」や「ヨイショする」ことではありません。相手と自分、両方を労り思いやることが大切です。
まずは「コンパッション」について知っていきましょう。
もしかして「ヨイショする」って、もう使われていない言葉ですかね?
コンパッションとは
- 自分や相手を深く理解し、役に立ちたいという思い
- 共にいる力
仕事で例えていきましょう。
打ち合わせにて周囲の意見を聞く際に、相手の発言が途中であるにも関わらず理解した気持ちになってはいないでしょうか。
また、相手の発言途中に自分の意見をかぶせてはいないでしょうか。
これらは、「相手の意見を聞く気持ちに(理解しようとする気持ちに)なっていない」「自分の考えに合わせて理解した気持ちになっている」と思われます。
相手がどんな考えを持っているのかを、自分の偏見を取っ払い考え受け止めてみましょう。その次に「自分であればどうだろう」「自分が伝えられることはなんだろう」と考え意見してみましょう。
共により良い形へ着地することを目指すことです。
それが良いコミュニケーションに繋がります。
コンパッションの考えは、個人ではなく組織で理解することが重要です。
互いに思いやることで、コンパッションの真の力が発揮されます。
コミュニケーションの秘訣「エッジステート」
人類学者のジョアン・ハリフォックス博士は、コンパッションの秘訣として内面や対人関係における5つの資質を述べています。
この資質を「エッジステート」と呼んでいます。
- 利他性
- 共感
- 誠実
- 敬意
- 関与
エッジには「端っこ」や「優位」、「崖っぷち」といった意味があります。
正しく理解することで優位になることもあれば、誤った考えにより落ちてしまうこともあるという、まさに崖(edge)にいるような二面性のある資質なのです。
本記事では、エッジステートの1つ「利他性」について考えていきます。
今後はその他4つの資質も学んでいきます。
↓共感についてはこちらをお読みください↓
↓誠実についてはこちらをお読みください↓
↓敬意についてはこちらをお読みください↓
↓関与についてはこちらをお読みください↓
利他性について
- 本能的に無私の状態
- 他者のために役立とうとする
利他性という言葉は、フランス哲学者オーギュスト・コントによってつくられました。
利他性の行動
利他性は、他者のために役立とうとする衝動が、恐れや自己防衛本能よりも優位に立ったときに生まれるという、無私無欲の行動です。
自身の労力を惜しまず手を差し伸べたいという、相手を思いやる気持ちがコンパッションに大きく影響します。
利他性のある行動は、仕事のできる・できないに関係なく発揮できます。
なにも大それた事(素晴らしい助言や強力な商談資料の作成)ではなくとも、相手の役に立つことはたくさんあります。
- 大きな荷物を持って移動している人がいれば、扉を開けてあげる。
- 頑張っている人に、言葉で感謝や応援を伝える。
ほんとうに小さなことではあります。
しかし、相手はポジティブな影響を受けて、次の行動を晴れやかに実行できるかもしれません。
利他性による自身の影響
多くの調査研究では、他者のために役立つ行動をしている人は健康状態が良好であると報告しています。
- 免疫力が高くなる
- 寿命が長い傾向
社会心理学の研究によると、自己中心性を抑えより寛大であることは、本人の幸福感と満足感の源泉だと言われています。
利他性のある行動は、ポジティブな恩恵が大きいということです。
病的な利他性について
利他的な行動を過剰に意識しすぎることで、相手と自分それぞれにネガティブな効果がでることがあります。
病的な利他性による自身への影響
利他性による善意ある行動を繰り返すことで、疲労してしまう場合があります。
善意を続けることが義務感に思い、助け続けることに疲れ切ってしまうのでしょう。
- 献身的な介護を長時間一人で行う
- クライアントの悩みに365日24時間備える
病的な利他性による他者への影響
他者を助けようとする行動が、実は他者にとって害となることがあります。
また目の前の善意に集中しすぎてしまい、周囲の害に気づけなくなることもあります。
- 子供の不満をすべて親が解決してしまう(子供に影響、周囲に影響)
- 呼び込むだけで世話をしない猫屋敷(周囲に影響、猫は不明)
- 相手の自律性を奪う善意
病的な利他性にならないためには
では、病的な利他性にならないためにはどうすればよいでしょうか。
まずは利他性の行動をする前に、出来事をしっかり見つめ受け止めてみましょう。
十分に聞き取ることで、自分になにができるか(可能範囲か)を考えることです。
他者の抱える問題は、遠くから見ると簡単に解決できるような気がします。
当人の根底にある複雑さを理解せずに解決することは無謀です。
スポーツやニュース記事に対するコメントでも、外野ならではのものが多いですよね。
結局のところ、苦しんでいるその人自身にはなれません。
自分が可能な範囲で手を差し伸べていきましょう。
まとめ:理解しようとする気持ちと無理のない行動を
コンパッションから利他性について考察しました。
利他性のある行動をとることで、相手と自分自身にも良い影響があることがわかりました。
個人ではなく組織で理解することで、コミュニケーションは良好になることでしょう。
また、病的な利他性には注意が必要です。
「援助している」と思っていても、実は相手と自身両方のためになっていないことがあります。
援助している自分に興奮する暴走には注意です。
是非、心身健康で無理のないコンパッションを意識しましょう。
また、「自己を思いやる」セルフ・コンパッションについてはこちらを参考ください。
参考文献
ありがとうございました