- 今の状況を受け入れることについて
- 自尊心について
- 将来の計画性と努力・充実について
現実逃避をする前に、ありのままで状況を見てみよう
私が大人イライラ期真っ只中の頃、特徴的な思考をもっていました。
自分が「ネガティブな出来事に直面したとき」に、こう思うのです。
私は別に、ここではどうでもいいし。
この先ここを出て、私は自由になるのだ。
こんなことをしている場合ではない。
未来は、もっと高みを望むわ!
やりたいことに集中するのよ!
今の状況から目を背け、現状を理解しようとしませんでした。
実際に起きていることを受け入れず、なにをやるにもいじけっぱなしです。
あげくに何がやりたいのかも決まっていないのに「将来は~」と、どこぞのパラレルワールドルートへの憧れに逃避をしていました。
自ら不幸のルートへ向かっていますし、周囲までもが不幸(不快)になっていきます。
無自覚に周囲を巻き込んでいます。
このような思考をしていた自分(似たような方)に、以下を実行してほしいと思います。
それは今の状況をありのまま受け入れ、理解することです。
自分がどう思うかを取り払います。周囲がどんな感情なのか予測するのを止めてみましょう。今直面している状況にだけ注目してみましょう。単純に今やることはなにか、それだけに集中して動いてみます。
案外、考えても仕方がないことで不安や心配が発生しているものです。
これだけでだいぶ落ち着き、ネガティブな出来事からのダメージも軽減されます。
その状態で将来の具体的ま計画をしてみましょう(書いてみよう)。
具体的になれば現実味を帯び、行動(努力)へ移しやすくなります。
しかし「大人イヤイヤ期」ですが、自尊心というものが関わっているようです。
自尊心の不安定さが、現実逃避を促している
自尊心には2つある
まず、自尊心とはどのようなものでしょか。
自尊心:自己に対する全般的な評価
e.g,Baumeister,Smart&Boden1996
「この人、自尊心が高いな」なんて言葉もありますが、これは「こいつ、自己評価高いな」と言っているようなものです。
Rosenberg(1986)は、自尊心には2つの部分があると指摘しています。
- 大きな出来事によって長い時間をかけて変動する基準の部分
- 短期間でより劇的に変動する部分
つまり、自尊心は日頃変動をしながらも、全体的には一定の調子を保っているのです(中間・小塩2007)。
不安定な自尊心
この「短期的」な部分が不安定であると、下記の傾向が現れるとKernis等(2003)は説明しています。
- 評価的側面を持つ出来事に敏感である。
- 評価的側面を含まない中立的な出来事であっても、自己評価に結びつける。
- 評価的出来事における結果を過度に一般化する。
自己評価にブレがある人は、出来事に対して敏感であるようです。
自己評価が高く不安定な人は、ネガティブな出来事によって自尊心レベルが下るリスクがあります(福沢・山口・先崎2013)。
ネガティブな出来事で自尊心レベルが下る脅威を、将来への肯定的な期待をもつことで補償しようというのです。
なんだか、むちゃくちゃ面倒くさい人物のイメージが湧いてきました。
プライドが高い。それ故評価に敏感。ダメージ受けると将来へ現実逃避。
そう、それが大人イヤイヤ期なのです。
福沢等は、研究によって自己評価が高く不安定な人を考察しています。
不安定な高自尊心を持つ人はネガティブな出来事による脅威を受けやすいため、日常生活でネガティブな出来事を多く経験した後で、時期を特定しない将来や、5年後への期待を高く持つのではないかという予測が支持された
福沢・山口・先崎2013
※5年というのは実験条件の一つ
ネガティブを予測しておくことで努力量をあげる
自己評価が高く不安定な人は、ネガティブな出来事に直面したとき、将来へ期待を持つことで補償をするということでした。
Caroll等(2006)は、これをポジティブに提案しています。
現実から近い将来に対しては、肯定的な期待を「低く」しておくことが適応であるとのことです。
近い将来に対して楽観的にならないことで、努力量を増やせると指摘しています。頑張れば手が届く範囲に設定するということです。
また、望まなかった場合の落胆をおさえることもできると指摘しています。
福沢等も、自己評価が高く不安定な人に対して示唆しています。
彼らが最終的に、経験したネガティブな出来事を、高い動機づけや努力量などといった肯定的な帰結につなげることもできるのではないかと示唆された。
福沢・山口・先崎2013
まとめ:将来を計画的に考え、現実逃避を卒業
自己評価が高く不安定な人には、下記特徴がみられました。
- 自分の評価は高く考えているが、常に不安定でありダメージを受けやすい。
- 失敗すると計画性のない将来に期待する。そうすることで失敗のダメージを軽減する。
将来の期待を具体的にすることで、不安定さを修正することができます。
短期的・長期的に分けて計画することが大切です。挑戦できることから始めることで努力へ繋がります。
目標へ一歩ずつ進めている実感が、自分を充実させます。
大人イヤイヤ期から卒業、現実逃避から卒業しましょう。
※自尊感情(自己価値)とwell-being(幸福)の関係を考察した記事があります。ぜひ読んでみてください。
参考文献
ありがとうございました