過去のことでも、つい思い出して凹んだり比べたりしちゃうよなあ
考えても仕方がないと分かりつつも、考えちゃいますよね
- 遠い思い出は、根深く影響する
- 過去の出来事を思い出して、どう捉えるべきか
過ぎ去った出来事が、今も自身に影響を与えている
「自分らしく」とか「自分が思うように行動したい」と考えて生活している方は多いと思います。
私も、それは素敵な考え方だと思っています。
もちろん、「身勝手」や「利己的に生きる」ということではありません。
自分が信じる、正しいと思う生き方で行動したいということだと思います。
しかし、それが「より良く生きること」だと理解しつつも、実際その通りには動けてはいません。
どうしても、他のなにかと相対的に比較をしてしまうのです。
同じように比較をしている方も多いのではないでしょうか。
以前、他人との比較について考察しました。
他人の所得水準に、自身の幸福感が影響をうけている「相対所得仮説」について考察しました。
つい比べてしてしまう対象として、他人以外にも影響が大きい存在があります。
それは過去の自分自身です。
自身がこれまでに体験してきた様々な出来事が、今の自分の主観的ウェルビーイングに影響を与えているのです。
主観的ウェルビーイングについて、簡単に先程の上記リンクで説明しています。
過去の影響を考察
過去の出来事は、薄れていくものなのか
過去や思い出から感じることは、「懐かしいな」「過ぎた出来事だ」などでしょうか。
そう考えると、時間経過と共に自身への影響力は薄くなるイメージがあります。
順応仮説というものがあります。
順応仮説:人間には変化する状況に適応していく能力が備わっているため、過去の経験が現時点での主観的ウェルビーイングに与える影響は、時間の経過とともに薄れていくだろうと予測する
Brickman and Campbell1971,Frederick and Loewenstein1999
しかし、過去の経験は時間が経過しても、必ずしも薄れることは無いという考え方もあるようです。
Newman(1959)は、転落仮説として下降移動は長期に渡って悪影響をもたらしていると検証しています(金井2017)。
私も、過去の影響力というのは強力というか「根深い」ものだと思っています。
私自身、精神的に未熟であることを前提として、下記のように感じる時があります。
- 気分が落ち込んでいるときは、過去のポジティブな自分を思い「あの頃は良かったなあ」と思いだす
- なにかに頑張っていたり、正しいと思う行動をとっていても、過去の過ちやアクシデントが脳裏をよぎり、一瞬にして落ち込む
遠い出来事は、今も影響を及ぼす
専修大学金井(2017)は、子供の頃と5年前との比較で、主観的ウェルビーイングに影響差があるのかを研究しています。
・暮らし向き変化の単純な効果の観点からも、現在所得と比べたときの相対的影響力という観点からも、子供の頃との比較の方が5年前との比較よりも主観的ウェルビーイングに大きな影響を与えていることがわかった
・過去の経験は、かなり長期にわたって人の自己評価に影響を与える、という可能性である
金井2017
実際、子供の頃の出来事すべてが、今の自分に影響を及ぼしているわけでは無いと思います。
自身においての大きい出来事というものは、なかなか消えるものではないのだなと思いました。
まとめ:過去との比較で、良い方向へ進みたい
どんなに今をより良く行動していようとも、過去の自身と比較し、影響を受けることは避けられないでしょう。
そうであれば、この思考パターンを認め受け入れるしかありません。
- 自分にとっての悲しくなる過去であれば、「今、より良く行動している」「同じことをしない」と振り返える。
- 自分にとっての輝かしい過去であれば、「経験することができた、今後自信となる体験」として振り返る。
このように、いずれにしても過去と比較をすることがポジティブな影響をもたらしていければと思います(非常に難しいと思います)。
そして、今の行動が未来の自分にとって「過去のポジティブな体験」として影響を与えられたらと思います。
参考文献
ありがとうございました