お礼するとき「すいません」って、つい言っちゃうなあ
「ありがとう」を「すいません」と言うには、わけがありあそうですよ
- 感謝とは、どのようにおきるのか
- 感謝を受けたら、どのように行動するだろう
- 申し訳ないと思うのは、なにが影響してるのだろう
恩を受けたら「ありがとう」と伝えたい
世の中は助け合いのネットワークでできている
私達は、自分の力のみで育ってきたわけではありません。
幼少時は、家族や周囲の人々にお世話をしていただきました。
大人になった今でも、自給自足生活のサバイバル生活をしているわけではないので、社会のサイクルに恩恵を受けて、必要なものを購入しています。
知り合いから知らない人まで、たくさんの恩、労力を受けて自分は成り立っているのだなと実感できます。
池上彰さん監修の「なぜ僕らは働くのか」でも、世の中は助け合いのネットワークによってできていることを説明しています。
身近な親切には感謝を伝える
また、恩を受けることは、サービスを提供してもらうことだけではありません。
仕事が増えた時に手助けをしてもらう、勉強で難しい問題を教えてくれる、荷物運びを手伝ってもらえる、落ち込んだ時に励ましてくれる、等々。
物質的な利益以外にも、たくさんの人から恩を受けています。
恩を受けたときは「ありがとう」と、感謝を伝えたいと常々思います。
お店(社会)から商品やサービスを受けたときは、お金を支払うことで感謝の意思を表しています。
しかし、いわゆる「利益を求めない親切」を受けて、財布から賃金出して「どうも、チャリン」っていうこともあまりないでしょう(チップ制はありますが)。
そのようなときは、感謝を伝えることが大切だと思います。
恩を受けた私の気持ちを感謝で相手に伝えることで、相手の気分も良いものにしたいと考えます。
親切に対して「すいません」と言いがち
私は恩を受けた場合、つい「申し訳無い」「すいません」と伝えることが多いです。
これは、相手に「苦労をかけさせてしまった」ことに対する申し訳の無さから発する言葉だと考えます。
それはそれで自分の気持ちなので、伝えることは問題ないでしょう。
しかし、それだけでは相手に苦労をかけさせた印象だけが残ってしまう気がしてしまうのです。
やはり「ありがとう」を付け加えて、相手の親切にありがたみを感じていることを伝える方が良いでしょう。
感謝とはなにか
そもそも感謝とはどんなものなのでしょうか。
感謝は、自分以外のものから利益を得たことを意識するような状況で生じ、喜び、嬉しさといった肯定的内容に加えて、申し訳なさ、すまなさといった非肯定的な内容として体験される感情である。
蔵永、樋口2011
利益と聞くと、なんだかいやらしい感じもしますが、自分にとって良い方向へプラスされたと判断した時に感じるようです。
どう言い換えても、いやらしく聞こえてしまう;
また、冒頭で記載した「申し訳無い」「すまない」という感情も感謝として当てはまることがわかりました。
感謝はどのような過程で起こるのか
感謝は、「利益を得たことを意識するような状況で生じる」とありましたが、具体的にはどのような状況でしょうか。
さきほど引用した蔵永、樋口が5つに分類しています。
- 個人が困っているときに他者から直接助けられる非援助状況
- 特に困っていないときに他者から直接支援を受ける贈物受領状況
- 他者から直接支援を受けるのではなく、他者に負荷がかかることで個人が間接的に支援を受ける他者負担状況
- 個人をとりまく何らかの状態が好転する状態好転状況
- 一見個人をとりまく状態に大きな状態の変化のない平穏状況
たしかに、ひとえに感謝と言っても様々な状況があります。
上記を自分なりに噛み砕くと、下記のようになりました。
- 非援助状況「困っている時に、手を差し伸べてくれた」
- 贈物受領状況「予想していなかったプレゼントをいただいた」
- 他者負担状況「他の人が、これから分析する資料を整理してくれていた」
- 状態好転状況「連日の雨で、明日のイベントが絶望的であったが突然晴れとなった」
- 平穏状況「今日も問題なく過ごせている」
困っている時や面と向かって支援を受ける時以外にも、様々なところで我々は感謝を感じることがあります。
それは身近なことだけではなく、遠くの見ず知らずの人の働きや、人的以外のことでも感謝を感じるような状況は起こっているのです。
感謝感情を体験した後の行動
あらゆることで感謝を感じることがわかりました。
ではその感情をどのようにふるまっているのでしょうか。
Bartlett&DeSteno2006他、たくさんの実証的研究があります。
- 自分を支援してくれた他者に対して感謝を発話で表出する感謝表現
- 自分を支援してくれた他者に金品や労力等の資源を提供する返礼行動
- 自分を支援してくれた他者とは別の第三者に親切をする向社会的行動
言葉の他にも、労力(助け)やお礼(プレゼント)で表現することはよくあります。
また向社会的行動という、例えば寄付行為や、同じような境遇の方に出会った場合に、自分が受けた支援を同じように振る舞うという支援(恩恵)が広がっていくこともあります。
申し訳無いという気持ちは、不衡平を感じているから
冒頭でも記載しました「感謝感情を非肯定的内容(申し訳無い・すいません)」と表現することは「衡平(つりあい)」が影響しているようです。
衡平理論では、自分の利益/コスト比率と相手の利益/コスト比率によって、相手に対する個人の行動が変わるとされている
Adams&Jacobesen1964
蔵永と樋口によると、非肯定的内容の感謝表現は「他者に過剰なコストをかけさせること」で不衡平となった状態を衡平に戻そうとする試みであると述べています。
自分が相手の苦労で利益を得てしまった時の「バランス」を気にしてしまうのでしょうか。
しかし、相手が「助けたことで苦労したなぁ」と思っているかはわかりません。
例えば、自身が体調不良で仕事を休み、他の方に労力が大きくのしかかったとします。その場合、相手がどう思っていようが、自身は「申し訳無い」という非肯定的内容の感謝感情でいっぱいになることでしょう。
まとめ:感謝を体験したら、行動に移そう
感謝を感じることは様々な場面であり、表現にもたくさんの手段があります。
私は様々なことで恩や親切を受けた時、それを感謝として表現・行動に移していきたいと思います。
感謝の輪を広げ、明るく前向きな日々を送りたいと思います。
参考文献
ありがとうございました